2015年11月23日月曜日

℃an't STOP! (2015-11-21)

Hungry Tigerのハンバーグが、私は子供の頃からずっと好きだ。横浜を中心に九つの店舗を構えるハンバーグレストラン。そのうちの一つが実家の近くにある。誕生日のような特別な日には親に頼んで連れて行ってもらっていた。大人になって韓国料理にはまりインド料理にはまり四川料理にはまった。香辛料の刺激に耐えきれずお腹を壊し体調を崩したのは一度や二度ではない。ひどい時には通勤中に少しだけ漏らしてしまうという悲劇も経験してきた。(その教訓を生かし、会社では机の引き出しにトランクスを常備するようにした。)そうやって自らの身体で本物を知ることで、世の中の「○○料理」の多くが日本人の味覚に広く浅く訴える子供騙しであることに気付き、そういった店は利用しなくなった。そういった訓練を経てもHungry Tigerは陳腐化せず、自分の中でリアルであり続けている。横浜に用事がある際には極力Hungry Tigerで食事を摂る。今日はパシフィコ横浜で℃-uteさんを観る。今回のコンサートツアー『℃an't STOP!』を観るのはこれで5回目であり、私はこれで見納めだ。来週に中野サンプラザで千秋楽があるが、それには行かない。開店時間の11時ぴったりに横浜モアーズ9FのHungry Tigerに到着(その時点で整理番号が10番だった)。ほどなくして店内に案内された。オリジナルハンバーグと野菜のブロシェットのレギュラーセット2,240円をいただいた。いつ食べても最高である。食後のコーヒーを飲み干して、会計を済ませて、店を出た。次は年末年始かな。

14時半開場、15時半開演で時間に余裕があった。Twitterで知り合ったある面白い人物(I)と終演後に飲む約束をしていた。彼とは過去に二度、会っていた。彼の投稿を見る限りまともな物を食っていなさそうだったので何か食べる物を渡すことにした。ポンパドールでチーズバタールとロンドの二分の一サイズを買って、みかん10個を買って、鶏肉の惣菜を買った。あげるために買ったものの自分の好物でもあるので我慢できずチーズバタールを一切れ失敬して、食べた。みかんもさっき試食したらおいしかったので二つもらってカバンに入れた。根本敬の『人生解毒波止場』と一緒に後で渡す。LUMINEのFREAK'S STOREを見て、みなとみらい駅に移動して、BEAMSを見た。ネットで見て気になっていたBEAMS別注のorSlowのジーンズが二種類とも置いてあって、いいな、欲しいな…と思ったが、あんまり時間がなかったので試着する等の深入りはやめておいた。Levi's VINTAGE CLOTHINGのジーンズもよかった。もしもっと時間があれば買ってしまっていたかもしれない。危なかった。

私に与えられた席は2Fの後ろから二番目(2F15列)という、いわゆるクソ席であった。席に関係なく生で℃-uteさんを観られることに感激するような純粋さはもう持ち合わせていない。しかもこのツアーに入るのが5回目だ。℃-uteさんは過去に行ったパリ、台湾、メキシコでの公演についてテレビやラジオの番組で聞かれると、来場者の熱狂ぶりをよく口にする。それに比べると日本人は恥ずかしがり屋だと言っているメンバーさんもいた。もちろん日本人が世界的に見てシャイなのは間違いないだろうが、行こうと思えば一回のツアーに何回も行ける日本のファンと、℃-uteのコンサートに居合わせるのが人生で最初で最後かもしれない海外のファンとを単純に比較するべきではない。いくらパリ、台湾、メキシコが熱かったとはいえ、年に何十回もやれば彼らも同じ熱は維持できないはずだ。私が℃-uteさんのコンサートに足を運ぶのは彼女たちを観るためであって、コンサート空間を盛り上げるための駒になりたい訳ではない。という訳で今日は盛り上がるのはそこそこに、先月に手に入れて以来すっかり手放せなくなった双眼鏡を活用し、まったり観させてもらうつもりだった。

ところがまったりしていられなくなった。開演前にiPhoneをなくした。カバンの中も椅子の隙間も探したが見つからない。もし置き忘れたとしたら1Fの客席の後ろにあるベンチだった。なかった。ここではなかったか、もしくは誰かが係員に届けてくれたのか。近くにいた係員の男に、緑のiPhoneの落とし物はないかと聞いたところ、落とし物は1Fのインフォメーションに行ってくれと言ってきた。インフォメーションと言われたって分かんねえよinformationって訳すと情報だぞ「情報に行け」って意味が通じてねえぞという雰囲気を出しながら「インフォメーション?」と聞き返すと行き方を教えてくれた。若い女性が親切に対応してくれたが、iPhoneは届いていないとのことだった。終演後に掃除をして落とし物を収集するのでそのときにまた来てくれと言われた。礼を言って2Fの席に戻った。ちょうどハロプロ研修生のopening actが終わってこれから℃-uteさんのコンサートが始まるところだった。冷静に考えると席に着いた直後、「2Fの後ろから二番目は(stageが)遠い」という趣旨のことをTwitterに投稿していたので、この席の付近で落としているはずだということに気付いた。だが、どうしても見つからない。

なくしたiPhoneそのものに対する執着はなかった。今のiPhone 5cに切り替えてからちょうど2年がたつので、機種の代金はほぼ払い終えている頃だ。データも数日前にバックアップを取ったばかりだ。気がかりなのが、終演後にどうやってIと連絡を取るか。あと、可能性は低いとは思うが誰かが拾って悪用する可能性。もし見つからなかったら何らかの方法でiCloudにログインして紛失モードに切り替えないといけない。事情を話せば後でこの会場のコンピュータを使わせてくれないかな。それが駄目ならインターネット喫茶を見つけて入るしかないな。この近くにあるだろうか? いや、でもこの辺に落としたはずなんだよな。公演中にも二度ほど探し直したが、見つけることが出来なかった。せっかくコンサートに来ているのだからコンサートに集中しようと思ったが、それは無理だった。ただでさえ自分の気持ちが盛り上がっていなかったので、頭の中からiPhone問題を消し去ることが出来なかった。気もそぞろになってしまった。

追い打ちをかけたのが、周囲の観客だった。1Fはいつも通りに盛り上がっていたようだが、私がいた2F後方は温度が低かった。女性が多かった。声を出す人は少数だった。別に白けている訳ではなく、めいめい(田村芽実さんのことではなく各々という意味)が楽しんではいたが、あんまり盛り上がっているという感じではなかった。ライブハウス(和製英語)でアンジュルムさんにディスられるタイプの鑑賞態度であった。もし私が事前に酒でも入れていれば率先して声を出すことが出来たかもしれないが、まったく飲んでいない上にiPhone紛失で精神的に削られていたのでそれが出来なかった。アンコールのときにも周りの人たちはほとんど誰も声を出していなかった。でも彼ら・彼女らの気持ちはよく分かる。慣れないうちは恥ずかしくて声を出せないものなんだ。パシフィコ横浜くらいの大きさの会場でこの席となると、こんなもんなのかも知れない。実際、1Fの良い席にいる奴らと同じくらい盛り上がれというのは無理な話だ。

・Stageから遠くて見づらい席であった
・開演の直前にiPhoneをなくした
・5回目だったので新鮮味がなかった
・周りの温度が低かった

今日の公演は以上の理由により、2015年で私が最も楽しめなかった現場の一つとなった。℃-uteさんやコンサートが悪いのではなく、完全に私の問題である。十分に集中できていなかった。喋りのセグメントで何箇所か笑わせてもらったのは覚えている。でも誰が何を言ったかをあまり正確に覚えていない。

・コンサートの前に岡井が『鶏ガラスープを食べたい人?』と呼びかけたところ他メンバーズが乗ったので岡井がスープを作って振る舞った。卵入りだった。

・昨日はナルチカだった。会場にwi-fiがあったので萩原がつないだところアプリが一斉に自動的にupdateされ始めた(そういう設定にしているらしい)。LINEが使えなくなった。受信していることは分かるが中身が見られない。10回くらい電源を切って10回くらい機内モードにしたが直らなかった。翌朝になっても直らなかった。LINEが直る夢まで見た。26通メッセージが来ているのは分かっていたがそれを伝えると「そのうちの5通は千聖だよ」と岡井が言ったという。

・バス移動の際、こぶしファクトリーの藤井が矢島が食べた後のパンだかお菓子だかの袋を拾おうとしたので岡井が「それはやめときな」と制した。「犯罪だよ犯罪。ファンの人の方がまだ常識あると思う」と萩原。

・12月に発売するalbumの題名が発表された。『℃maj9』。シーメジャーナインスと読むらしい。何か音の響きが○ックスナインみたいだな…と私は不謹慎ながら思ってしまった。

・女性の皆さん?と客席に呼びかけてキャーと返ってきた声援を受けて「ほとんど女性なんじゃないですか?」とおどける岡井。

終演後、iPhoneはすぐに見つかった。右隣の人の席の隙間に挟まっていた。Twitterを開くとIから@が入っていた。18時まで待ってほしいとのことだった。開演前に買ったコレクション生写真が2枚とも矢島さんだった。会場の外で交換をしている紳士に岡井さんと交換したいと持ちかけたが、岡井ちゃんは切らしているとのことだった。Iと合流し、野毛まで歩いて「小料理屋トモ」に入った。ちょうど奥の座敷が空いていた。鯨の竜田揚げを頼んだらマグロも入れてくれて、おまけにアンキモが付いてきた。鶏の唐揚げを頼んだら切らしているとのことでなぜかピリ辛に味付けた豚足が出てきた。アボカドのフライを頼んだらフライの粉がないとのことで天ぷらになった上にぶり大根がおまけで付いてきた。鮨の盛り合わせを頼んだらシャリに白子やホタテ(貝柱の部分だけじゃなく丸ごと)やかに味噌のような謎のペーストを乗せた奇想天外な料理が出てきたしおからのグラタンがおまけで付いてきた。おまかせピザを頼んだら山芋を使ったような生地にポテトサラダとチーズを乗せて焼いた物が出てきた。頼んでいないウコンのジュースを出してくれた。木の香りがした。会計は8,000円超を覚悟していたが5,700円だった。帰り際に裸の状態でウコンを渡された。「どうすればいいんですか?」と聞くと、入り口にいた上機嫌な客が「そのままかじればいいよ」と話しかけてきた。トモさん(店主のおばちゃん)によると「摺り下ろしてもいい」とのことだった。Iとは以前に会ったときよりも打ち解けてきて(少なくとも私はそう思っている)、前よりも話題が広がってきた。『フリースタイルダンジョン』、アイドルの握手会、虹のコンキスタドール、℃-ute、サッカーの日本代表や海外リーグ、インターネットに長文を書くことについて、等々。「今のサッカー日本代表は(『フリースタイルダンジョン』の)モンスタールームの皆さんのようになっている」というのが二日後に思い返しても味わい深い言葉だった。SKE48さんの『前のめり』というsingleをもらった。「同じのが7枚あるから」とIは笑った。21時半くらいに店を出た。振り返ってみると、とても楽しい一日だった。