2016年4月5日火曜日

MISSION 220 (2016-03-27)

聞いてくれよ。俺のチケットは121番だったのに、400番くらいになるまで会場に入れなかったんだ。いや、チケットって大体2週間前に郵送されて来るじゃん? でも海外出張に行っててね、おととい帰国したばかりでさ。受け取れなかったんだ。ファンクラブに電話して、当日に会場で引き渡してもらえるという算段はつけてあった。ファンクラブ会員証と顔写真入りの身分証を提示して、開場してから開演の15分前までの間に当日券売場に行ってくれということだった。事前に席や番号が分かっていないまま現場に向かうのは初めてだったんだけど、どうも気持ちの持って行き方が難しい。今日は時差ぼけで午前3時過ぎまで眠れなかった。眠れない夜はYouTubeにある「20分以内に眠くなる音楽」というのをかけるんだけど、あれの効力をまったく感じなかったのは初めてだ。起きてもだるさが残っていて、これから横浜に移動しなきゃいけないというのは気が乗らなかった。帰国した二日後に現場というのは無理があったかな、と少しだけ思った。

で、チケットを持たないまま横浜Bay Hallに着きましたわ。開場時間である14時の少し前だったんだけど、トランシーバーを持った職員に事情を説明してどうすればいいのか聞いてみた。開場してから階段を上がったところで受け取ってくれと彼は言った。混雑が予想されるので先にお客さんが入ってからの方がいいというようなことも言っていた。それは意味がよく分からなかった。ひとまず了承して、入場待ちの人たちが立たされている区域で待っていた。さっきの人がいまいち信用ならないので、入場列を仕切っていた別の職員に同じことを聞いてみた。すると結局その人も俺が最初に聞いた職員に聞いていた。入場列の最後尾に並んで入ってくれとのことだった。従ったけど、いまいち納得できなかった。だってここにいる人たちって、列に並んだ先着順に入っているわけではなくて、チケットに印刷された整理番号順に入っているわけだからさ、この指示じゃいつ入っていいのか分からないんだよ。しかも俺の番号がめちゃくちゃいい番号の可能性もあるわけじゃん。ライブハウス(和製英語)は指定席じゃないからさ、俺の番号はとっくに過ぎているかもしれないんだなと思いながら番号の呼び出しをやり過ごしていくのは落ち着かないよね。さすがに三百何十番とかになってきたあたりで痺れを切らして「全員が入るまで待つんですか?」と例の男に聞いた。すると小僧ときたら「私は会場のスタッフであって運営のスタッフではないので、番号の呼び出しをしている方に聞いてもらった方が…」と急に掌を返してきやがった。唖然とした。え、だったら何で後ろに並んでくれと中途半端な指示を出したわけ? お前の所属なんて知らねえよ。自分じゃ分からない、判断できないんだったら最初から言えよ。そういった文句が口から出かけたが、二十歳前後の美少女たちのコンサートを観に来た30代男性が会場に入るタイミングを巡ってムキになって会場の職員に文句を言うのは格好がつかないし、何より今まで無駄に待った時間は戻ってこないのでやめておいた。こうやってブログで後からねちねちとディスることでお茶を濁すことにする。それが大人の態度だ。

入り口の前にいたエスタシオンの職員に言ったらあっけないほどすぐに入れた。くそ、さっきまでのあれは何だったんだ。列に並んで階段を上がってチケットを見せるところで「会場で引き渡しなんです」と言うと横のテーブルを指し示された。そこでチケットを受け取った。手慣れた様子だった。開封すると121番だった。ああ、結構いい番号だったじゃないかよ! そのときは既に400番くらいまでは呼び出されていた。案の定、中に入ると前方の空間は殆ど埋まっていた。やっちまった。しかし横浜Bay Hallは他の多くのライブハウス(和製英語)とは違って、後方に段差があってステージが見やすそうな場所が広く取られている。しかも2段階。一番上で割と見えそうな位置を見つけたので、今日はそこに陣取ることにした。

横浜Bay Hallのつくりは、そんなに悪くない番号だったにも関わらず後ろに立たざるを得なかった俺にとって、救いだった。最後の方に入って演者の皆さんがちゃんと見えるなんて経験は、初めてだった。ライブハウス(和製英語)でコンサートをやることの意義として、客が近くからstageを見ることが出来るというのはよく言われることだ。ハロプロのグループが全国のライブハウス(和製英語)を回るツアーを大々的に始めた頃はツアーがナルチカ(なるべく近くの略)と名付けられていた。でもよほど前方に行かないかぎり、人が邪魔になって見えない。近さの恩恵にあずかることが出来るのは運良くいい番号のチケットを割り振られた奴らだけだ。しかし、横浜Bay Hallは違った。後方でも近さの恩恵を享受できる、来場者に優しい、稀有な会場だった。その上、俺がいた付近は人が密集しておらず、快適だった。メンバーさんがstageに広がった際に宮崎由加さんが一番左(下手)に来ることが多くて、ちょうど俺の位置から正面になることが多かったのも都合がよかった。

開演前のannouncement(影アナ)は金澤さんが担当した。彼女が注意事項を読み上げる度に他のメンバーたちが最後の単語を繰り返したり「そうだ」等とちゃちゃと入れているのが小さく聞こえてきて、笑った。影アナでopening actがあることが告げられた。間もなくNEXT YOUが登場したが、最初に現れたのは真由、波奈、るりかの三人だけで、愛子と碧はいなかった。昨日の夜にTVドラマ『武道館』(フジテレビ版)が最終回だったんだけど、俺はまだ観ることが出来ていなかった。これを書いている今はもう観ているから分かるんだけど、愛子と碧が武道館よりも恋愛を選んでグループを脱退したことが最終回では示唆されているんだ。でもドラマと違って、後から現れた碧は「私は、武道館を選ぶ」、愛子も「武道館を選ぶ」と言って客は拍手喝采だった。自己紹介のときにも真由が「スキャンダルゼロ!」と言ったのに対して碧が「スキャンダルは、計2回」と言ったり(るりかが大受けしていた)、愛子も「剣道が好き」と言って「剣道をやっている人が好きなんでしょ?」と真由に突っ込まれていたりして、ドラマを引っ張っていて面白かった。

序盤の挨拶で高木さんが「大事な日曜日を私たちのために使ってくれてありがとうございます」ということを言っていた。今の状況を当たり前と思わずにこういう分別のある言葉を発することが出来るのはいいね。俺からしてみると、こちらこそ日曜日にこんなに平和で楽しい空間を提供してくれてありがとうございます、だよ。こんな現場を日常的に体験できるのは日本それも東京周辺だけだ。日本に帰ってきてよかったし、帰国したばかりのところ多少の無理をしてでも来てよかった。

宮本さんが今までのしゃかりきコロンブス的な印象に比べて肩の力が抜けているように見えた。過去にはすべての動作で10割の力を出し切っているように見えた。今日に関してはあえて8割、9割でこなしているときもあるようだった。手抜きとは違う。余裕から生まれる優雅さがあった。宮本さんのプレイスタイルを俺は以前、岡崎慎司のようだと評したことがあったけど、岡崎慎司がレスターでオーバーヘッドを決め日本代表でも巧みな足技からのゴールを見せるようになったのと同様、Juice=Juiceの岡崎慎司も日々進化を続けている。

「私の写真集を買ってくれた人?」と植村さんが呼びかけると大半の客が手を挙げた。「たくさん買ってくれた人もいると思うんですけど、そういう人は最後の一冊になるまで捨ててください。私、厄年なんで写真集にいっぱい厄が詰まっていると思います」と植村さん。「他のグループのファンにあげてJuice=Juiceを広めてもらえばいい」とメンバーさんの誰か。
「最近キー(高木さん)から大きくなったねって言われて」客から、どこが?という声。「どこがって身長に決まってんだろうがバーカ!」とキレる植村さん。このとき宮崎さんが口をあんぐりと開けて唖然としていて、顔文字のようだった。高木さんは胸が膨らんでいる様を身振りで示しておどけていた。

アンコールを挟んだ本当に本当の最後の曲が『生まれたてのBaby Love』なのは嬉しい。2015年に出た曲で、俺がいちばん好きな曲だからだ。ただ一つだけ不満がある。間奏でメンバーさんと客が全員で同じ動きをするところがあるんだけど、過去には都度アドリブで毎回ちがう動きだったのが、ある時期から毎回おなじ動きになったんだ。今回はどんな動きが来るんだろう、っていうのが楽しみだった。最も印象に残っているのは、山口県の周南チキータ(2015年8月)の昼公演だったかな?で「山!山!口!口!」と山と口を手で作る動き。

最後の挨拶。「今日はタオルを持って振ってくれる人がいつもより多くて嬉しかった。持っていない人は、たぶん(物販で)売っていると思うので」と言って笑いを誘った後に、「強制じゃないですよ」と付け加える宮崎由加さんの優しさ。この日がCODE 2の最終日であるとのこと。「そんなにセットリストが大きく変わるわけでもないのに何度も来てくれる人もいる。何度でも来たいと思ってもらえるperformanceを見せられるようにしていきたい」と金澤さん。

コンサートが終演して、もうね、完全に満足した。本編の後には恒例の高速握手会があるんだけど、参加せずに帰った。たらふく料理を食って満腹なのに、デザートを無理に詰め込むようなことはしたくなかった。会場を後にし、元町・中華街駅に向かった。Velva Sheenの長袖Tシャツの上に、前と後ろに大々的に宮崎と黒で印字されたピンクのTシャツを着ているのを忘れたまま(上着は駅のロッカーに預けてきた)5分くらい歩いてしまい、慌てて宮崎Tシャツを脱いだ。