2016年5月21日土曜日

MISSION 220 (2016-05-14)

三郷のことは昨日の21時くらいまでさんごうだと思っていた。iPhoneで「さんごう」と入力したら「三郷市文化会館」と出てくるようshortcutを登録していた。昨晩、池袋のタイ料理店「ピラブカウ」にて友人と飲んでいて、明日はさんごうでJuice=Juiceのコンサートを観に行くと言ったところ、さんごうではなくみさとだという指摘を受けた。iPhoneのshortcutに入力していた「さんごう」を「みさと」に修正した。PF Flyersのスニーカー、Rebuild By Needlesのジーンズ、BattenwearのTシャツ、Engineered Garmentsのナイロンジャケット、MELOのバックパックという完璧な合わせで三郷市文化会館に向かった。花粉症が終わったと思ったらまた次の花粉症が来た。3-4月のに比べると軽いのだが、眼がかゆい。あいにく薬を持ってきていない。駅と会場の途中にある松本清さんが創業者のドラッグストアに入った。私の地元では1,500円で売っているアルガードの目薬が2,000円した。500円くらいのロートZ!を買って、差した。松本さんが薬を売ってくれたおかげで、コンサート鑑賞に支障がない程度にはかゆみが治まった。駅から会場までの間に興味深い飲食店がいくつかあったので、夕飯の場所には困らなさそうだ。

昼公演と夜公演という呼び方には違和感がある。15-17時は昼ではない。この時間に摂る食事は昼食ではないからだ。飲食店のランチ営業時間を考えると、昼というのは11-15時くらいだろう。もちろん中には17時までランチ営業をしている店もあるが、それは例外だ。大体の店は14時か15時だ。15時に店に入っても注文は受け付けてくれない。15時にいったん店を閉めるからそれまでには食い終えていないといけない。だから私は15時に始まって17時に終わるコンサートを昼公演と呼ぶのがしっくり来ない。同日に開催される2公演のうち時間が早い方と遅い方を区別するための便宜上の呼称としては昼公演と夜公演で十分だ。一種の専門用語としてあまり考えずに使えばいいのだが、文字にすると気になってしまう。では何と表せばいいのか? 今のところ私が考えつくのは開演時間を明記して、例えば15時の回、18時半の回とするやり方だが、昼公演と夜公演に比べて歯切れが悪い。最近ハロプロ構成員の誰かがブログで1部、2部という言い方をしていた(何のコンサートもしくはイベントだったのかは分からない)。昼ではない時間に行われる公演を昼公演と言うよりはその方が正確である。傾向としてはコンサートは昼公演、夜公演、イベントは1回目、2回目と言うことが多い。今日は、15時の回、昼公演、1部、1回目、どう呼べばいいのか分からないが、そのコンサートと、18時半の回、夜公演、2部、2回目、どう呼べばいいのか分からないが、そのコンサートの2回が開催される。私はその両方を観させてもらう。

15時の回、もしくは昼公演、もしくは1部、もしくは1回目:

私が会場に着いた時点で、開場前のグッズ販売は締め切っていた。ちょうど入り口を通りがかったときに紳士が係員にグッズ販売について聞いていたが、開場前の販売(「先行販売」と係員は言っていた)は13時半で終わったと係員は答えていた。入場列に並んだ。14時が予定されていた開場は10分遅れた。中のグッズ売場で、私がJuice=Juiceのコンサートを観に行かせてもらう際のルーティンである日替わりA5写真の宮崎さんと宮本さん各500円の購入を無事に済ませた。今日は金澤さんのも買うか迷った。なぜなら埼玉県は金澤さんの出身県であり、今日は彼女にとっていわゆる凱旋公演だからである。しかし、こういうところでいちいち財布の紐を緩めていると出費が際限なくなってしまうので(割れ窓理論)、日替わり写真は基本的に宮崎さんと宮本さんのだけを買うという自分に課したpolicyを守ることにした。

キングギドラの『トビスギ』に「ハイライフ なくちゃいらんなーい ハイライフ 震え止まんない 何回逮捕されても 何回解放されても ハーイラーイフ 止まんねえ」という歌詞がある。開演前に流れていた曲の一つが、その部分の引用元だった。アルバム『最終兵器』発売(2002年10月)から13年半越しに、あの箇所が何かの引用であるということを知った。秘密結社MMRがアルバム『リベラル~I'm Not DT~』収録の『餃子』で『トビスギ』の上記の箇所を引用しているのだが、『トビスギ』に元ネタがあったということは『餃子』のあれは孫引きということになるのか。だとするとこれが学術論文だったら指導教官から原典にあたるように厳しく指導されるだろう。というのは冗談として『リベラル~I'm Not DT~』は歌詞がユーモアに満ちていて、ラップは韻が固い正当派で安心して聴けるアルバム。お薦めする。秘密結社MMRは5月4日に2枚目のアルバム『スーパーヒップホッパーズ~幻の巨大魚編~』を出している。私は月末に受け取る予定。まだ聴いていない。

この会場には初めて入った。ステイジと客席が近くて、俄然ワクワクが高まってきた。私の席は14列なのだが、中野サンプラザの席に換算すると10列くらいの距離だろうか? ハロプロ研修生のopening actから自己紹介がなくなっていた。会場の空気は思ったよりも金澤さんの地元感が強く、赤いTシャツを着ている人が普段の現場よりも多い。開演直前にLunchMoney Lewisの“Bills”が流れている最中に「朋子!朋子!」のチャントが沸き起こった。それが曲のリズムと合っていて、LunchMoney Lewisとジューサー(Juice=Juiceファンの総称)たちのセッションのようで面白かった。こじんまりした会場だから観客の共通意志がまとまりやすいのかもしれない。コンサート中に金澤さんはこのチャントに言及し、こんなにたくさんの人に朋子って呼んでもらえることはないから…と言って喜んでいた。

開演前に暗雲が立ちこめた。前の人が、5本の棒を扇形につなげて一つにした、開演前の注意事項で明確に禁止されているタイプのケミカルライトを持っていた。あんなのを頭上に掲げられたら視界が大幅に塞がれるのは決定的だった。そうならない訳がなかった。規則を分かって(分からないはずがない)破るような輩が行儀よく振る舞う訳がない。後で言葉の限りを尽くしてこのブログでディスるつもりだった。ところが、思いがけないことに暗雲は去った。何とコンサート中、彼はケミカルライトを上げる高さを頭の高さくらいまでにとどめた上に、飛ぶ高さも回数も控え目だった。結果として、私のコンサート鑑賞の邪魔にはまったくならなかったのである。少なくとも迷惑オタクというラベルを貼ってディスる対象ではなかった。迷惑オタクの象徴である禁止物品を会場に持ち込む無法者ぶりと、その道具を他の観客の鑑賞を妨げないように配慮して使う紳士ぶりという、謎のバランス。拍子抜けするほどに行儀がよかったので、この紳士に感謝の念すら沸いてきた。不良の善行がそうでない人の善行よりも評価されるのと同じ原理である。

昨晩、植村あかりが宮崎由加を「もう嫌いです」「ばか姉め!タヌキ!」とディスるブログ記事を投稿し、DEV LARGEがK DUB SHINEをディスる曲のmp3がネット上に公開されたときと同じくらい唐突なビーフが勃発した。この公演で最初のしゃべりのセグメントはその二人が担当した。お互いが別の方向を向いて、なかなかしゃべり出さない。ざわつく客席。「何か(言うべきことが)あるんじゃない?」と口火を切る宮崎さん。ひたすらオウム返しをしてから「私は何もない」と一歩も譲らない植村さんは、ブログについて説明しろよという感じで宮崎さんに差し向けるが「ブログ書いたのあなたでしょ?」と反撃される。宮崎さんによると、今回のビーフの原因は宮崎さんがLINEのアイコンを変えたことだという。これまでは二人でお揃いのアイコンを使っていたが、宮崎さんが植村さんに断らずにアイコンを変えたことで植村さんが怒った。その後でアイコンを2人で写った写真に変えたにも関わらず許してくれないんだと観客に訴えかける宮崎さん。「さっきと言い訳が違う」と抗議する植村さんは「うさぎの変なやつ(最初に変えたアイコン)は2人の写真に変える間のつなぎだと言っていた。アイコンは1秒で変えられるのだからすぐに変えればよい」と怒りが収まらない様子。謝ってという野次が客席から飛んだが、謝るのは年に一度だけ、そうしないとタヌキの神様が怒ると言って宮崎さんは謝罪を拒否した。結局、2人は抱き締め合って和解した。一連のくだりが収束したところで残りの3人が合流したのだが宮本さんは「長いよ」と呆れ、高木さんは「どこからどう見ても難波のヤンキー」と植村さんの態度を表していた。「どこを見たの?」と植村さん。

宮本さんが高木さんとのビーフを打ち明けた。紗友希に言いたいことがあると切り出す宮本さんに「何それ? そんな打ち合わせしていない」と慌てる高木さん。宮本さんによると、耳チークをしているとブログに書いたところ、耳チークはけしからんという主旨のことを高木さんがブログに書いていて、私をディスってんのかと思った(ここで宮本さんはディスという言葉を使っていた)。これに対して高木さんは、あれはNAVERまとめを見て書いたことであって佳林のことではないと釈明した。謝ってという客席からの野次。高木さん、「許してウッキッキー」。

着替えを終えて戻ってきた宮崎さんが、先ほどステイジからはけてからあかりがチューしてきたと主張した。一方の植村さんは、キスしてきたのは由加だと主張した。「どんな嘘をつくの?」と宮崎さん。宮崎さんと植村さんのビーフについては、私は昨晩たまたまTwitterのTLに流れてきた植村さんのブログを見ていたから理解できたが、見ていなかったらキョトンとしていただろう。

今回のツアーは曲目にも演出にも緩急があって、時間が過ぎるのが驚くほど早いと私は感じる。通常のコンサートよりも実際に短いんじゃないかと疑ったほどだ。でも終演後に時計を見るときっかり2時間たっている。『続いていくSTORY』をじっくり聴いた後に温かい拍手が鳴り響くのが心地よい。“CHOICE & CHANCE”はJuice=Juiceの皆さんの歌と踊りの力強さが増し、ファンも乗り方を完全に心得ていて、会場が一つになる曲に育ってきていると感じた。“GIRLS BE AMBITIOUS”のはじめの煽りもJuice=Juiceの皆さんが毎回工夫をこらして観客を楽しく盛り上げようとしているのが伝わってくる。今日は金澤さんが担当した。会場を左半分と右半分に分けるという確実に半々になる方法で声を出させていた。

アンコールはいつもの「ジュース! もう一杯!」ではなく「朋子! 朋子!」だった。最後の挨拶では宮崎さんが、私は目が悪いがこの会場はステイジと客席が近いので後ろの人でも顔の造形…目、口等が認識できた。これは凄いことなんだと言っていた。コンタクト・レンズを入れても矯正しきれないくらい悪いということなのかな。だとすると矯正視力でどれくらいなんだろうと私は気になった。

次の公演までの空き時間を利用し、「三流亭」という入りやすい名前のステーキ屋さんでサーロインステーキ定食1,380円と瓶ビール550円をいただいた。コンサートの前に飲んで気分を高揚させるための飲酒としては、自分にとってはビール500mlくらいがちょうどいい。もう少し多くてもいいけど、これより少ないと効果を感じづらい。18時に店を出た。

18時半の回、もしくは夜公演、もしくは2部、もしくは2回目:

夢心地だった。2週間前にチケットを受け取ったときからこの公演を心待ちにしていた。なぜなら私の席が4列という絶好の位置だったからだ。1列はカメラが通るために潰してあったので、実質的に3列目だった。通路席で右隣に人がいなくて、さらに左が空席だったので場所を広く使えた。これ以上はほぼ望めない最高の席だった。最前列の植村さんオタクが頻繁にジャンプするタイプの青年だったが、飛び方にある程度は節度があったので、途中からそれほど気にならなくなった。双眼鏡を通して拡大されたJuice=Juiceを観るのと、わずか数メートル先のステイジでJuice=Juiceが歌って踊っている姿を観るのとでは、まったく異なる体験だ。双眼鏡じゃあり得ねえ。迫力と臨場感に差があり過ぎる(呂布カルマが戦極MC BATTLE第12章で放った「ボクシングじゃあり得ねえ。言葉のウェイトに差があり過ぎる」風に)。どれくらい差があり過ぎるかというと映画を家のテレビで観るのと映画館で観るのとくらいの差がある。近さの恩恵によって『生まれたてのBaby Love』で宮崎さんが(私の真正面3メートルくらいの距離にいた)「あなたに届いた」「あなたと二人で」という歌詞を私に向けて歌っているように感じられて、ドキッとした。つまり宮崎由加さんが一番なのである。

ハロプロのファンにはメンバー同士が付き合っているとか誰が誰のことを好きだとかいう妄想を膨らませる(カップリングと呼ぶらしい)のが好きな人たちがいる。Twitterで見るかぎり主に女性だ。そういう人たちにはたまらないであろう場面があった。しゃべりのセグメントで宮本さんが金澤さんに対して、コンサート中の再三にわたる私からの求愛行為に振り向いてくれないと苦情を申し立てた。客席を向いて、左耳付近の髪をよけて、左ほっぺを差し出して、目をつむって、キスをねだった。戸惑う金澤さん。沸き起こる朋子コール。勢いに押されてキスをする金澤さん。はしゃぐ宮本さん。そのときに左上から登場した残りの3人はその場面を見て膝から崩れ落ちるような仕草を見せた。「落ちるかと思った」と植村さん。「そういうグループだと思われたらどうする?」「 イヤだイヤだ」。

「楽屋で携帯でおばあちゃんと話していた。朋子が代わりたいと言ったので代わってあげた。するとあかりが部屋に入ってきて『誰と話してるの? ババア?』と聞いてきた。この難波のヤンキー」という高木さんによる暴露の最中、植村さんは衣装に付いている羽根で顔を覆い恥ずかしがっていた。「私、ババアなんて言う性格じゃないんだけど」と植村さんが弁解すると客席からエーイングが起きた。植村さんは真顔になって客席をにらみ「何がえーだよ」と凄んだ。「さすがにババアは言わないよね」と金澤さん。

“GIRLS BE AMBITIOUS”が始まる前のcall and responseは前の公演に続き金澤さんが担当した。中野サンプラザでは昼と夜で担当者を変えていたが、今日は地元だから2回とも金澤さんにしたのだろう。今回は埼玉県民以外と埼玉県民に分けていた。埼玉県以外から来た人が多数派だった。私の周りに埼玉県民がほとんどいなくて、声を出すときに少しやりづらさを感じた。宮本さんが埼玉県民の声が小さいと言って、埼玉県民だけやり直しになった。いや、それは声が小さいのではなくて数が少ないのではないかと思いつつも、宮本さんにダメ出しされてやり直しを命じられるのは一種の興奮が伴うプレイだったので、喜んで服従した。このJuice=Juiceと観客との掛け合いを含めた“GIRLS BE AMBITIOUS”の楽しさはこのコンサートのハイライトの一つだ。曲中には毎回アドリブの動きが入るのでステイジから目が離せない。

私が公演の前に身体に入れたアルコールは瓶ビール1本だったが、アンコールは2回起きた。埼玉県民以外が多数を占める観客が金澤さんに対しておかえり的なスタンスを取るのは何かおかしくないですかという疑問は残るものの、金澤さんの帰還を祝う公演として大成功だった。開演前、アンコール、ダブルアンコールでの朋子チャントに金澤さんが気をよくしてくれているのが伝わってきた。

この公演が15時の回よりも楽しくなるのは、はじめから分かっていた。1日に公演が2回あるときには、1回目はwarming upで、2回目が本番だ。普通に考えると同じコンサートを2回やっているのだが、休憩を挟んだ一つの長い公演という見方も出来る。少なくともステイジに立つ彼女たちから見ればその方が実感に近いはずだ。したがって、曲目が同じであったとしても、両方を観て初めてその日の公演を見届けたと言える。もちろん色んな理由で片方にしか入れない・入らない場合はあるだろうが、最大限に楽しむためには可能なかぎり両方に入るべきなのだ。そうすると一日がほぼ潰れる。立つ時間が長く、身体も動かすので、決して楽ではない。だから日頃から少しでも運動をして体力を付けておく。睡眠と食事に気を付けて体調を整えておく。公演の前に肉とアルコールを摂取する。そうやって自分が楽しめる条件を整えていく。