2016年7月13日水曜日

MISSION 220 (2016-06-26)

目が覚めたときの感触で、前泊することを決めた。というのも明日からドイツに出張なんだ。9日前までのアメリカ出張の時差ぼけがまだ完全には解消していなくて、早起きするのがつらい。金曜日に帰国して、月曜日には寝坊して午前休を使った。夜中まで眠れない。明日は10時半の飛行機なので成田空港に8時半に着く必要がある。となるとまあ6時には起きないといけない。ただでさえ時差ぼけでその時間に起きるのはきつい。もっと言うと時差ぼけがなくても十分に注意しなければ寝過ごしかねない。時差ぼけに2日で4回のコンサートを鑑賞した疲労を足すと、目が覚めて時間を見て青ざめる可能性は十分にある。2日4公演のうち半分を終えて目が覚めたときの疲労から数学的に考えて、明朝の目覚めは成田で迎えた方が賢明であるという結論に至った。起きて間もなくコンピュータを起動し、楽天トラベルを開いた。成田空港に近くて、禁煙室で、大浴場があって、安いホテルを探した。京成成田駅前のアパホテル5,500円を予約した。これで今日は明日の心配なく存分に楽しめる。

2日連続で横浜モアーズのハングリー・タイガーに入った。昨日は11時半くらいに来て40-50分待った。今日は開店の11時ちょうどくらいに行ったら数分で入れた。起床が遅かったのとホテルの予約や荷造りでバタバタしていたので朝飯は食っていなかった。腹が減っていたし、疲れていたのでダブルハンバーグステーキのレギュラーセット2,470円を頼んだ。ダブルだとハンバーグが440gもある。至高の一皿である。昨日は時間がギリギリだったので駆け足になった食後のコーヒーを今日はゆっくり(といっても中東のサッカーチームの遅延行為のような見苦しさはなく普通に飲む程度のスピードで)いただいた。横浜駅の東横線乗り場の近くにあるコインロッカーに車輪付きのカバンを預けて身軽になった。

無事にホテルを押さえ明日は(派手に寝坊しないかぎり)寝過ごす心配がない。ハングリー・タイガーでハンパないハンバーグを半分かける4つまり2個もいただいてニコニコ。でかい荷物はコインロッカーに預けた。開場前に会場に着いた。すべては順調で気分上々だった。しかし…いつものようにグッズ売り場に日替わり写真を買いに行ったところ宮崎由加さんの写真だけが売り切れていてパニックになった。今まで宮崎さんというかJuice=Juiceの日替わり写真の売り切れに遭遇したことがなかったので、にわかに信じられなかった。だってまだ今日の1公演目が始まる前だし、そもそもグッズ列には誰も並んでいなかったので購入希望者が殺到したというのが想像しにくい。「宮崎さんのは売り切れてるんですよね?」と販売者に念のため確認したところ、売り切れているという血も涙もない回答だった。よりによって一番欠かしたくない宮崎さんの写真だけが売り切れているとは…精神的ダメージを受けた私は、日替わりの宮本さんと、コレクション生写真を2枚買って引き下がった。

昨日は昼公演でも夜公演でも聞こえなかった整理番号の呼び出しが、今日はちゃんと聞こえた(夜公演のときにはまた聞こえなくなっていた)。マイクを良品に変えたようだ。私の整理番号は250番台だった。200番以降は10番ごとのざっくりした呼び出しになったことから分かるように、終盤の雑魚番号だった。昨日の夜公演のときと同様、一番後ろのやや左寄りという、バスでいうと三浦知良さんの定位置(三浦さんほど左ではなかった)に行った。普通のライブハウス(和製英語)だと前か後ろかなんだけど、この会場は段差が三つもあるので前方に行けなくても位置の狙いどころがいくつもある。だから私はこの会場が好きだ。

影アナは金澤さんの当番かと思いきやそこからKICK THE CAN CREWばりのマイクリレーが繰り広げられた。ウグイス嬢口調の宮崎さん。携帯をマナーモードにしてくれというくだりを歌う高木さん。変な声で読み上げる宮本さん。植村さんは割と普通だった気がする。最後にまた金澤さんに戻った。注意事項を読み上げるというルーティン業務をここまで楽しそうにやって我々のことも楽しませてくれるJuice=Juiceの皆さん。

高木紗友希さん・植村あかりさん・宮崎由加さんのおしゃべり。「何かいっぱいいるね」とフロアの埋まり具合にゴキゲンな宮崎さん。小学生の頃のエピソードを話そうということに。話し始める植村さんに「そのときから生意気な子だった?」と茶々を入れる高木さん。「どこから見たらそうなるんだ」と抗議する植村さんに「どの角度から見てもそう見えるけど?」とのけぞって別の角度から見る仕草をしながらおどける高木さん。子供の頃は「奥ゆかしかった」という植村さん。クラスに嫌いなガキ大将がいて、その子がいる間は特にそうだった。ガキ大将が転校してからは…と言ったところで「うえむーがガキ大将になった?」と高木さん。「何でやねん」という植村さんの返答が笑い声にかき消され気味だったのを見て「いま盛り上がりすぎて聞こえなかったかもしれませんが、何でやねんって言いました」と高木さん。

ソロ歌唱は、金澤さんがあぁ!の『正夢』。宮本さんが昨日の昼公演に続いてモーニング娘。の『Memory 青春の光』半音上げバージョン。私はあぁ!をちゃんと聴いたことがない。『正夢』はいま検索してみたところ2003年に出た“FIRST KISS”というシングルのカップリングだったらしい。あぁ!名義でのアルバムは出ていないらしく、このシングルの他にはハロプロの総集編的なアルバムに何曲か収録されているだけのようだ。2008年頃から追いかけている新参としてはこういった曲のひとつひとつまで押さえるのは難しい。

夏といえば祭りで、かき氷だという宮本さん。味なしのかき氷(つまり氷だけ)が好きだという宮本さんに「それ嘘だと思う」と高木さん。何の味が好きかという話に。前の方の客がぼけて答えようとしたら「そっち(客側)? けっこう時間かかるよ」とJuice=Juiceの誰か。「(コンサートの時間が)終わっちゃいそう」と宮崎さん。桃味が好きだと答えた高木さんは、でもかき氷はシロップが違っても実は味が一緒だと言った。そうだと認める宮本さんに「じゃあ聴かないで」と高木さんが抗議すると、「それオチにしようと思ったの。オチ先に言ったから後でフルボッコだからね」と宮本さん。やってしまったーという感じの顔をする高木さん。金澤さんがいちご味が好きだと言うと「いちご似合わない朋子。朋子がいちご練乳ですよ? さっき足音を立ててた怪獣が(ステイジに登場する前に袖で歩く金澤さんの足音がうるさかったらしい)」と高木さん。「祭りでみんなにおごりますよ」という宮本さんに、太っ腹!的な反応を見せるメンバーたちと客。「100円くらいだよね?」もっと高いというメンバーや客の反応を見て「じゃやっぱやめた」と宮本さん。
「今日は前半も後半も自分たちのやろうとしているサッカーが試合を通して表現出来なかった。この敗戦は、負けたという事実も悔しいですが、それ以上に自分たちが自分たちのサッカーを表現出来なかったことが一番悔しい」
長谷部はそう振り返り、肩を落とした。
(フットボールチャンネル編集部、『Football Channel vol. 3 代表23人が語る 敗北の真実』、2014、p.34)
「自分たちのサッカー」という言葉は、日本のサッカーファンの脳裏に2014年W杯の苦い記憶を呼び覚ます。あのときのサッカー日本代表チームは「自分たちのサッカー」さえ出来ればどんな相手にでも勝てるという過信に満ちていた。大会前には優勝すると豪語した選手もいた。結果は、3試合を戦って1分け2敗。優勝どころか1勝すら出来ずにブラジルを去った。「守備にしても攻撃にしても、全く同じやり方であらゆる相手をねじ伏せられるほど、W杯は甘くない(中略)相手との駆け引きに勝たなければならない。キャッチフレーズにはしていなくても、対戦相手にも“自分たちのサッカー”がある」(前掲書、p.11)。

対戦相手を無視した「自分たちのサッカー」が自分たちよりも強いチーム相手では破綻するのと同様、会場・他の観客・演者・催し事の趣旨・自分の位置を無視して「自分たちのコンサート鑑賞スタイル」を貫こうとするのも間違っている。昨日と今日の4公演で、1公演目は整理番号が8番。2-4公演目は200番前後。前には前の楽しみ方があって、後ろには後ろの楽しみ方がある。というより、その席なり位置なりで出来る限りの楽しみ方をしなければ損なのだ。ということで、私はある実験を行った。普段は忌み嫌ういわゆるマサイ(公演中に飛びまくる観客のこと。部族の名前から取っている。秀逸な名付けではあるがマサイ族の人たちに失礼な気がして私はあまり積極的には使いたくはない用語ではある)に、自分がなってみた。宮崎由加さんが歌う度に、私はメガネがずれる本気のジャンプを繰り返した。一番うしろなので、後ろの人の迷惑になるのを気にする必要はない。最近はハロプロ現場でマサイに対する風当たりが強い。ジャンプそのものが完全に禁止されるまでは行かないまでも、過剰なジャンプや連続ジャンプは規制される流れになりつつある。私は基本的にその流れを歓迎している。前方でピョンピョン跳ねられるとステイジが見えづらくなって本当に邪魔で仕方がないからだ。だが本来は、ちゃんと観たい人と飛び跳ねたい人が共存するのが望ましい。さいきん嗣永桃子さんが飛びたい人は後ろで飛べとコンサート中に言ったらしい。実際、後方にジャンプ自由のエリアを決めてそれ以外の場所では基本的に禁止するというのも解決策としては有効かもしれない。まあ、何でもルールにするのが好ましいわけではないが。

最後のコメントで、高木さんが『如雨露』のときに自分以外がお立ち台に乗らなかったと抗議すると他のメンバーたちから一斉に逆襲を食らった。彼女たちが指摘するには、今日はハロステの収録があったので『如雨露』のときにはお立ち台に乗らないという約束だったということだ。

金澤さんは、もうこのツアーは170回以上もやっている。その度に最後のコメントをしている。次第に言うことがなくなる。でもいつも同じことを言うわけにはいかないし…と素直な心情を吐露した。

トークのセグメントで話しそびれたので、ということで最後のコメントがてら宮崎さんが小学校一年生のときの思い出を開陳した。ある子といつも給食の早食い競争をしていた。勝つために少なめによそってもらっていた。

今日はピンクの宮崎Tシャツを洗濯中のためBattenwearの普通にファッショナブルなTシャツで来たのだが、終演後の高速握手会では高木さんが私のTシャツを見て「名無し」、二人くらい先に進んでから「昨日はピンク?」と声をかけてくださった。私がびっくりして振り返ると彼女は私の二人くらい後の客と握手しながらこちらをちらっと見て笑った。何という記憶力と情報処理能力。

横浜Bay Hallと元町・中華街駅の中間にあるコンビニに入って、スミノフアイスを買って、店の外で飲んだ。弱すぎる。大人は上がらねえ(参照:UMB2014のR-指定対呂布カルマ)。学生の練習用だ。酔いの入り口にすら到達していない。こんなのは酒じゃない。というわけでもう一回店に入って角ハイボール。身体に回ったアルコール。コレクション生写真を開けたら金澤さんと宮崎さんが当たった。大抵の奴は持ってない。でも2枚だけ買って宮崎さんが当たる私は、持ってる(参照:中島卓偉、『おまえは持ってる』、アルバム『煉瓦の家』)。

この土日の4連戦の締めは16時45分開場、17時半開演。開場直後にグッズ売り場を覗いてみたら全員の日替わり写真が売り切れていた。お気に入りの一番うしろに行った。近くから「昨日から同じ人間しかいない」という声が聞こえた。
『奇跡の香りダンス』でキックする振り付けがある。近くの紳士たちがメンバーの脚の上がり具合に付いて論評を交わしていた。
「金澤、脚あがんないの?」
「上がんない。上がんないというか、遠慮している」
分かる。

さっきよりも酒が回ってきた。セブン-イレブン、いい気分(酒を買ったのはファミリーマート)。一番後ろの壁にもたれて座り込んで、Twitterを眺めた。開演の直前まで私は立ち上がらなかった。「みんな元気ですか?」という高木さんの第一声から始まる影アナを聞きながら、私は禁止事項を二つ破ってるなと思って、可笑しかった。まず、飲酒してのご観覧。次に、過剰なジャンプ(これから思う存分やる)。もちろん、飲酒については泥酔していたわけではなく、あくまでほどよいほろ酔い程度だ。ジャンプについても後ろに人がいないから誰の視界も遮らない。空いているから誰にもぶつからない。飲酒に関してもジャンプに関してもルールの趣旨には反していない。つまり私は紳士なのである。影アナ中の、「握手会に関してお知らせです」→「なになに?」(宮崎さん)、「握手会は、終演後に行います」→「なんで?」(宮崎さん)という茶々には笑った。

高木紗友希さん・金澤朋子さん・宮本佳林さんによるおしゃべり。高木さん、咳き込む。水を飲む。
宮本さん「横浜やでー」
高木さん「しゃべってもいい? コブクロさんのインスタにコメントをするといいねをしてくれるんだけど、紗友希できないじゃん。ファンの人が紗友希の画像を載せて、この子は高木紗友希です。コブクロのファンなんですという説明をしてくれたの。そうしたら黒田さんがいいねしてくれたの! 嬉しい。だってあんな大きい人にいいねされたことある? 握手会で大きい人に身長を聞くと183センチくらい。黒田さんは193センチくらい」
宮本さん「紗友希は黒田さんにいいねと言われた女だから」
高木さん「いい女ということだから」
「いい女ということで」と話を締める金澤さん。「皆さん苦笑いですけど」

ソロ歌唱は、植村あかりさんが『満月』(昨日の昼公演と同じ)、宮崎さんが『赤い日記帳』(昨日の夜公演と同じ)。宮崎さんの歌唱中(そもそも飛ぶような曲ではない)で前の方で飛び続ける金澤オタ。キチガイか。

「Tシャツにはまっている。ユニクロさんのサンリオキャラクターもの。着ていると中学生みたいと言われる。最近もマネージャーさんから赤ちゃんみたいと言われた」と宮本さん。
「だって赤ちゃんなんだもん」と金澤さん。「触ったことないから分かんないか」と、羨ましいでしょとでも言わんばかりにフロアに目を向ける。
宮本さんは赤ちゃんみたいに頭が熱い、と宮崎さん。
「赤ちゃんの匂いがする」という金澤さんに「そう、汗かいたときが一番あかちゃんの匂いがする」と同調する宮崎さん。
「どうしても佳林ちゃんの匂いが嗅ぎたい人はベビーパウダーで代用して。間違っても握手会で本人の匂いは嗅がないで」と金澤さん。
「逮捕だから。もう来れなくなっちゃうから」とメンバーの誰かが言うと「そうしたら私がひっぱたくから」と金澤さん。大喜びで歓声を上げる観客。

「アイコンタクトを由加とばっかりやっていると握手会で指摘された」という植村さん。そんなことはないという顔と仕草の宮崎さん。ファンは嫉妬しているようだがシンメになるから(ダンスで向き合うから)仕方なくやっているだけだと説明する植村さんに、そうそうという感じで頷く宮崎さん。今日はファンを見るようにしたら、色んな人が来ていることを改めて認識できたという植村さん。

宮本さんは、回数を重ねるにつれてコンサートが進化してきて、一年前にはなかった“GIRLS BE AMBITIOUS”の乗り方が出てきている。なかなか大人の色気は私では出ないみたい。マライヤ・キャリー、ビヨンセとかを見てセクシー!と思うだけじゃなくて、佳林の色気を出したいけど、とうぶん時間がかかります、と言った。

「本当に楽しい。ライブ中みんな私たちのことを見てくれて」と言った高木さんは「大人の色気は19歳だから出てるので佳林は見習ってほしい」と先ほどの宮本さんのコメントにアンサーを返した。
「紗友希は見習いたくない。ともなら分かるけど」と宮本さん。
「なんで私のところなのにともの名前を出すの」と高木さん。
「でも紗友希の歌は見習いたい」と宮本さんがほめ出すと、急に照れ出す高木さん。

金澤さん「Juice=Juiceはそれぞれみんなバラバラの個性がある。ファンも同様。由加ちゃんのファンは優しそう(得意げな宮崎さん)。紗友希のファンは微笑ましい笑顔で紗友希を見てる。赤ちゃんを見つめるような、動物を見るような。佳林ちゃんのファンはサイリウムを静かに持っている。暴れない。私のファンは騒がしい(金澤さんのファンが喝采)。うえむーのファンはスタイリッシュ。色んなサイリウムがあって、それぞれで面白い」

宮崎さんは横浜での2日間が本当に一瞬に感じるほど楽しかった(同じことをコンサート中に何度も何度も言っていた)、コードスリーが終わるのが残念だと言っていた。

このコンサートで私は今までで一番たくさん飛んで、一番たくさん声を出した。ふくらはぎが張っているのを感じていた。心地よい疲労感だった。連戦の締めに相応しく、思う存分、好きなように楽しませてもらった。すべてを出し切った。成田のアパホテルに着くと、空き部屋の関係で予約していたのよりもいい部屋にしたというようなことを受付の紳士は言った。部屋に入るとベッドにマッサージ機能が付いていた。