2017年11月24日金曜日

僕たち可憐な少年合唱団 (2017-11-11)

体調がよくない。といっても熱があるとか咳が出るとかそういう分かりやすい症状がない。目覚めが悪い。日中も微妙にしんどい。帰りの電車ではほぼ必ず寝てしまう。夏にもこういう時期はあった。ここ何ヶ月かは平気だったのだが、再発している。こういう具合のときは早起きして会社に行って朝から夜まで最低限のことをこなして帰るというルーティンに耐えるのが精一杯だ。その平日の流れを断ち切れなかった。疲労感を引きずったまま目覚めた土曜日。真野恵里菜さんの名盤“More Friends Over”を久しぶりに聴きながら埼玉から東京へと向かった。新大久保「ナングロ」でサマエボウジを食った。池袋「フラミンゴ」でコーヒーフロートを飲んだ。ポメラDM100を開いてブログを書こうとした。思うように進まなかった。

今日も先週に続き池袋で演劇女子部。15時からの♭公演と18時半からの♯公演。先週も今日も全部A列だったが、実際に座ってみた感触としてはA列よりもB列の方がよかったと思う。というのが、A列の前に段差なしで3列追加されているので。B列はそこから一段上なんだ。とはいっても、私の前にはいい具合に空席が二、三個あって(あんな良席をもったいない…)視界がよく、ストレスなく、間近で舞台を堪能することができた。A列の中央ブロックだけなぜか椅子にクッションが置かれていた。そのおかげもあってケツの痛さで集中を切らすということもなかった。ただ、自分の調子が整っていなかった。残念なことに、15時の♭公演では途中で少し寝てしまった。18時半の♯公演では何とか回復し、起きたまま観ることができた。(そのかわり隣の紳士が居眠りをしていた。親近感を覚えた。)私が何かの公演中に寝るということは基本的にない。普段からちゃんと寝ているし、週末に影響が出るほど平日の仕事で無理もしない。最近ではほとんど残業すらしていない。記憶にある限り、私が寝た最後の現場は2012年12月31日から2013年1月1日にかけて行われた坂本真綾さんの年越しコンサートである。あのときに関しては時間が遅かったからしょうがない。寝てる時間だから。

♭公演は、♯公演と内容が違うのではないかと私は予想していた。♭チームの四人は、先に私が観ていた♯公演ではヒールだった。コンテスト優勝を目指すHグループの四人から自信を奪おうとしてくる、Aグループの四人であった。そのAグループの視点から、♯公演とは同じ期間を描きながらも別の視点からのストーリーが展開されるのではないかと思っていた。視点を変えれば実は彼女らにも感情移入すべき事情があって、それが描かれるのではないかと思っていた。実際に観てみると、内容は同じだった。もちろん細かい部分は違ったけれど(たとえばHグループを嘲笑した後の、Aグループ全員の声を揃えての笑い方)、役も台詞も歌も一緒だった。

このミュージカルの最終公演は観客のアンケート投票でどちらのチームになるかが決められる。私は三回とも、♯に投票した。先週は片方しか観ていなかったので判断のしようがなく、困ったが、♯にチェックを付けた。

というところまで、11月19日(日)に、バファリンでもサファリン(sufffering)を抑えきれない頭痛を堪えながら書いた。限界が来て筆を置いた(ポメラを閉じた)。以降は11月23日(木・祝)と11月24日(金)に万全の体調で書いている。

♭チームの公演を実際に観て、♯チームの方が全般的に完成度が高いと感じた。もちろんアイドルを比較してどっちの方がよかったとか悪かったとかを語るのは野暮である。エンターテインメントはスポーツとは違う。『みんなちがって、みんないい。』んだし、成長の余地を楽しむのもアイドル鑑賞の醍醐味である。でも、このミュージカルに関してはある程度、優劣という観点から比較せざるを得ない。最後の公演をどちらのチームが務めるかを観客の投票で決めるということ自体がそれを促しているわけで。考えてみるとこの投票制度は合唱コンクールで優勝を目指すという劇の設定にリアリティを持たせるための仕掛けなのかもしれない。劇の中でAグループとHグループが争っているのと同じように、リアル・ライフでも♯組と♭組が最終公演の主演を巡って争っているというね。先週の投票を仮にやり直せたとしても結果は変わらない。

私がこのミュージカルを観たのは♯2回、♭1回である。ファンクラブ先行で申し込んだ時点では、どちらの公演に誰が出るかは分からなかった。そもそもHello! Project研修生が出演するというだけで、具体的に誰が出るのかすら明らかにされていなかった。それでいい。ホンモノは「演劇女子部」「Hello! Project研修生」という情報だけで申し込むのである。出演者の割り振りが発表されると、♭を二回にしたかったと思った。なぜなら♯組には私が注目する研修生は特におらず、一方の♭組には研修生発表会を観て気になっていた金津美月さんがいたからである。でも実際に観て、♯公演が二回でよかったと思った。

私にそう思わせたのは、西田汐里さんと島倉りかさん。このお二人は私に強い印象を与えた。西田汐里さんは本当に声が魅力的。声量も安定していて、彼女の歌声には場を引き込む力がある。彼女が一人で歌うとそこは西田汐里ワールドになる感じがした。島倉りかさんは、ヴァイブスが抜きん出ていた。ステージにいるだけで、この子はちょっと違うんだなというスペシャル感があった。演技も役に入り込んでやりきっていた。今日はポスト・パフォーマンス・トークがあった。新たな面を発見したメンバーというお題。この劇における島倉さんが普段とあまりに違って共演する研修生たちも戸惑っているというのが話題になった。堀江葵月さんは、島倉さんはいつもおっとりしていて研修生の間では山岸理子さんに似ていると言われている。けど安藤(Aグループの意地悪な生徒役)を見てびっくりしたのだという。「金津ちゃんからも『意地悪なの?』と聞かれたんですけど、違うので。そう思わないでください」と島倉さんは笑った。「演技がうまいんだね」と誰かが言うと島倉さんは反射的に「はい」と答えて、違う違うという感じで顔の前で手を振っていた。笑いが起きた。西田さんと島倉さんには今後も注目していきたい。

先週に観たときに比べて観客の温度が低いと感じた。意外だった。なぜなら公演を重ねるごとに演者も観客もこなれてきていい雰囲気が醸成されていくものと認識していたからだ。先週は開演直後に拍手が起きたが今日は昼も夜もなかった。あと、先週は笑いが起きていたところで起きなかった。もしくはごくわずかだった。かくいう私も先週の方が声を出して笑っていた。先週は終演後に私の近くで「(自分がこのミュージカルを観たのは)何回目? 覚えてねえや」「これまでの(開催された)公演を数えれば自ずと分かるだろ」という会話が交わされていた。彼らは極端にしても、何度も観る人にとっては、話の内容も、劇中の細かい笑いどころも、少し浅かったかもしれない。

20時半から池袋で90分6,000円の台湾式マッサージを受けた。この店は着替えが生臭いのと客がケチくさい(細かい値段について揉めているのが聞こえてくる)のを除けば非の打ち所がない。帰りの電車である駅に着いたところ、プラットフォームで酔っぱらいらしき紳士が三人の駅員たちの手で車椅子に乗せられて搬送されるという光景が私の眼前で繰り広げられた。