2018年1月7日日曜日

FULL SCORE (2018-01-03)

分別のある大人は、年末年始をアイドルさんのカウントダウン・コンサートでは過ごさない。1月2日からアイドルさんのコンサートを観に行くなんてこともしない。そんなことをする奴らは自分の生活と境遇を見つめ直すべきである。いつぞやの晋平太戦でのGOLBYじゃないが、「反省しとけよ体育座りで」。私はまともな人間なので、Hello! Projectのコンサートに入るのは1月3日からである。Hello! Projectメンバーさんの手書きメッセージが印刷されただけの写真を一枚500円で買うために朝から会場前に並ぶこともしない。昼飯を食ってから中野に行く。新大久保「ナングロ」でサマエボウジを食いたかった。池袋方面から中野に行くと、通り道なんだよね。新大久保は。12月30日にお店の人に聞いたところ正月の休みはなく通常営業を続けるということだった。11時半頃に店の前に着く。さすがに寒いから飲み物はホッピーじゃなくてククリ・ラムにしようかと思いながら階段を上がると、扉にCLOSEDの六文字。おい。閉まっとるやんけ。こんな事態を避けるためにわざわざ聞いたんやで。はじめから分かれば池袋で食っとったで。近隣の四川料理店に入ってみた。海鮮麻辣鍋のランチ850円と、汾酒(白酒)600円を頼んだ。悪くはなかったが、このために新大久保で降りるほどではなかった。再訪はないだろう。2011年から着ているTHE NORTH FACEのシェルにシミが付いた。麻辣と付く料理のシミはしつこい。ドライ・クリーニングでは取れない。

13時10分頃、中野サンプラザの前に着いた。グッズ列は大したことがなさそうだ。外に並んでいる人数は一ダース程度。中の階段も空いている。グッズ列(とおぼしき列)じゃ最後部な奴らだった二人組の紳士の片方に「すみません、ここグッズ列ですか?」と尋ねる。「たぶん、そうだと思います」。彼らも分からないで並んでいるらしい。後ろにつく。すぐに声をかけられるエスタシオンの係員が近くにいない。会場の中に何人かいた。寒くて風が強いから室内にいたがっているのかもしれない。今日のエスタシオンは見覚えのない奴らばかりだ。頼りなさげ。大学で柔道かラグビーでもやっていそうな案内係の青年と来場者のやり取りを見るかぎり、どうやら開場前のグッズ列は打ち切ったような雰囲気だった。13時26分、柔道ラグビーの案内でグッズ列が作られる。売り場のレイアウト変更で販売が中断していたようなことを言っていた。よう分からん。13時35分に階段途中のグッズ一覧を見たら日替わりの山岸理子さんと小野瑞歩さんと谷本安美さんが売り切れていた。予想はしていた。昨日も早い時間に山岸さんと小野さんの日替わりがなくなったとTwitterで見ていた。しゃあない。けど、小野さんの写真もっと刷れや。前の紳士がアホみたいに買いまくる人だったので2-3人ぶん待たされた。日替わりは、稲場愛香さんと宮崎由加さんのを買った。稲場さんの日替わりを見るのは本当に久しぶり。私が買うのは2015年8月14日の広島クラブ・クアトロ以来である。コレクション生写真を4枚。内訳は野中美希さん、小片リサさん、高木紗友希さん、植村あかりさん。私が行った最新(12月26日時点)のハロプロ・ソートでそれぞれ22位、14位、5位、16位。まずまずと言っていい。コレクションものでやたらと植村あーりーさんを引く。

2018年の冬ハロコンは4回入る。今日(1月3日)の昼公演。6日の昼公演と夜公演。13日の昼公演。回数については、2017年の夏ハロコンに6回入って多すぎると感じた。4回くらいが適正であろうとそのときに悟った。入る公演の割り振りについては、ハロコンは普通のコンサートよりも情報量がはるかに多い。なにせ各グループのメンバーさんと研修生さんを足すと出演者は総勢50人程度にも及ぶのである。脳が処理しきれない。昼・夜と続けて観ると記憶がごっちゃになってしまいがちである。一日一公演にした方がしっかり消化できる。とはいえ6日は二つ入るが、私が7日、8日と休みなのでその間に記憶を整理してブログを書くのが目論見である。

14時半くらいに席に着いた。10列。中央。ハロコンのチケットは4枚とも受け取っているのだが、すべて8列から10列の中央ブロックに集中している。エグゼクティブ会員の先々行受付に割り当てる用のエリアがあんねやろな。以前、嗣永桃子さんの旦那さんで知られる有名オタクさんにエグゼクティブ会員に割り当てられる席について伺ったところ、最前とかは来ないけどほどほどによい席が安定して来ると教えてもらったことがある。昨年11月のモーニング娘。のコンサートも先々行で申し込んだが、あのときも10列目くらいの中央だった。中野サンプラザは前のブロックが12列まである。中央の通路を挟んで、後ろのブロックが13列から始まる。つまり私の後ろには二列を挟んで通路。ハロコンではいわゆる降臨というメンバーさんが客席エリアに降りてくる演出が恒例になっている。だから気になんぜ、通路との位置関係。遠いと降臨があっても満ち足んねえ。

近くの紳士二人組の会話によると、今年のハロコンはどの日も相場が変わらない。1月3日の昼は片方のパターンの初回なので大体高騰するものだが、今年は変わらなかった。6日と7日はDVD/Blu-ray収録が入るから高騰しがちだが、今年は変わらなかった。「昨日(1月2日)は本当にすごい出てましたね」。ヤフオクの話だろうか? チケット・キャンプがなくなり、娯楽道のチケット館も閉鎖し、転売チケットをゲトるのが難しくなっていくご時世。たしかに利ざやで儲けるために転売をする奴らはクソだ。かといって販売を禁止すれば需要がなくなるわけではない。禁酒法時代のアメリカにおける酒のようにアンダーグラウンドに潜るだけだ。

青地に白でTake chan、右下にpionとchampionの字体で印字したパロディTシャツをお召しになっている紳士がいた。これはいい。クール・ハローより断然クール。自作Tシャツの見本。模範。竹内朱莉さんを選ぶという渋さもリスペクト。

FULL SCORE公演の第一回だったので、どのタイミングで誰がどこに降臨するかは客席にいる誰も知らなかった。『モーニングコーヒー』のテンポを上げたバージョンでコンサートが始まった。私は少しの間ステージのモーニング娘。に目を奪われ、後ろの通路にメンバーさんが来ているのに気が付かなかった。周りの雰囲気で察知した。振り返ると少し右に秋山眞緒さんがいるのが見えた。ということは? 近くに小野瑞歩さんがいる可能性がある。探すと、いた。秋山さんの左に。私のほぼ真正面である。向こうも気が付いてくれた。「あ! お前いるのか!」という顔をしてニコッと笑ってくださった。ワイの天使が二列越しとはいえ正面に来てくださりいわゆるレスまでくださるという、何という幸運。もし誰も遮ることなく目の前に小野さんが歌って踊ってくださったらどうなっちまうんだろうな。

当然だが、私が着用しているTシャツはエメラルド・グリーン(厳密には業者に発注した色はミント)。印字されている文字は小野(瑞)。ハロコンで私が着用すべきTシャツ。『それが答えだ!』(ウルフルズ)。もう躊躇はない。はっきりと明言するが、小野瑞歩さんが私のnumero unoである。もちろんJuice=Juiceも宮崎由加さんも引き続き応援する。グループとしては今でもJuice=Juiceがぶっちぎりで好きである。彼女たちを観るために私は今年の二月に福島、四月に福井、静岡、広島に行くことが決まっている。しかし、個人としては小野瑞歩さんが私の推しである。宮崎由加さんと小野瑞歩さんが二人とも一位という公式見解をしばらく護持してきたが、限界が訪れた。繰り返すが私は宮崎由加さんのことも応援し続ける。彗星・小野瑞歩さんが同率一位に躍り出てから一年間、その地位を守り続けた。普通はそんなこと出来ねえ。すげえアイドルだよ宮崎由加さんは。俺はそれに対してリスペクトを送ってるぜ。

会場の貼り紙によると今日の欠場者は佐藤優樹さん(モーニング娘。'18)、和田彩花さん、勝田里奈さん(以上アンジュルム)、植村あかりさん(Juice=Juice)、山木梨沙さん(カントリー・ガールズ)の5名。昨日もこの面子が出演しなかった。貼り紙には書いていなかったが、今日は和田桜子さん(こぶしファクトリー)も欠場するというのをTwitterか何かで見ていた。だから冒頭にまことさんが欠場者を発表するときの「昨日から増えています」という前置きは和田桜子さんを指しているとばかり思っていた。おそらく会場の大半がそう思ったはずである。ところが増えた欠場者は和田桜子さんだけではなかった。宮本佳林さんまでもが出演メンバーから外れたのである。体調不良。和田桜子さんの名前が出たとき「まあしゃあない」という感じだった我々も、まことさんの口から「宮本佳林」という名前が出たときには失望を隠せなかった。会場中がどよめいた。7人もの欠場者。「光GENJIなら全員いなくなる」と言って空気をほぐすまことさん。注射を打って対策をしているが、みんな若いので免疫が出来ていない。大きな心で受け入れてほしいというようなことを我々に語りかける。こういう形で「5人のJuice=Juice」を見ることになるとは。そしてこぶしファクトリーに関しては今日4人だよ。元々8人だよ。4人でも『シャララ! やれるはずさ』は熱かった。すっかり我々を巻き込む曲に仕上がっている。

MVPは何と言っても稲場愛香さん。彼女がいるだけでHello! Project全体の華が15-20%は増す。身にまとっている華の量が桁違い。春のスギかというくらいにハナを振りまいている。そりゃ多少の空白期間があろうとも、変則的な所属と活動形態を許してでも、彼女のためにポストを用意してでも、何とかしてHello! Projectに残そうとするわ。こんな子、探したっていいひんもん。仮に今からどのグループに入ったとしてもグループ全体の魅力をブーストするのが容易に想像できる。Dan Ariely and Jeff Kreisler, “Dollars and Sense”によると、イタリアの宝石商サルバドール・アセールは、買い手が付かなかったタヒチ産の黒真珠を高く売るために、知人の店でダイヤモンド等の稀少な宝石と並べて展示してもらった。これによってタダ同然だった黒真珠の価格が高騰した。並べて置かれているのを見て、黒真珠にも高価な宝石と同等の価値があるのだろうと人々が思うようになったからだ。つまり、価値の高い商品と抱き合わせることで、他の商品の価値が増すのである。久しぶりに拝見した稲場愛香さんは、ご自身が発する異次元のヴァイブスによって、他のHello! Projectメンバーさんたちの魅力を引き上げるポジティブな効果をもたらしているように思えた。

近くの紳士(特定できていないが、前の列にいたガリガリでロン毛の紳士ではないかと睨んでいる。どうせロン毛なのに洗ってないんだろ?)が真冬なのにシャレにならない臭いを発していて、ちょくちょく鼻に刺激が来た。こういうときにいつも、記憶のアンカリングが起きないか心配になる。イルな体臭とHello! Projectのコンサートが私の脳内で関連づけられて、イルな体臭を嗅ぐとHello! Projectのコンサートが頭に浮かんだり、Hello! Projectのコンサートに入るとイルな体臭を思い出したり…ということである。幸いにも今のところそれはない。

それはともかく、何という楽しさに溢れたセットリスト! 現行のHello! Projectの音楽プロデュース体制の実力には疑問符が付くが、少なくともセットリストを組む能力はある。何より陳腐化していない豊富な楽曲の資産がある。20年間の積み重ね。Hello! Projectの強み。ワックな新曲を作ったり、制作スピードが抱えるグループ数に追い付かずリリースが滞ったりするくらいなら、いっそのことリリースでもっとカヴァーを多用してもいいのではないか。変な話、Berryz工房や℃-uteがリリースしてきたアルバムをこぶしファクトリーやつばきファクトリーがそっくりそのままカバーしていっても成り立つんじゃないか? いや、分かるよ。それはさすがにやりすぎだ。でも過去の資産を大事にするのは悪いことじゃないと思うんだよね。つばきファクトリーのリリース・パーティでもいちばん盛り上がるのはBerryz工房や℃-ute等のシットがかかったとき。ファンはベテランが多いから、昔のクラシックを引っ張り出してくると喜ぶんだよ。

・『都会っ子 純情』(℃-ute):曲が始まった瞬間にどよめきが起きる。野村みな美さん、金澤朋子さん、加賀楓さんの三人。台詞は野村さんが担当。℃-uteのコンサートでは間違いなく盛り上がる曲だった。冒頭の“Are you ready?”の絶叫から始まり、ソロ・ラインのチャント「愛理!」「舞美!」が身体に残っている。あとは名前をそのときに歌っているメンバーさんに入れ替えるだけの容易な作業。「熱狂、絶叫、yes yes y'all 揺らしまくる日本列島」(リアルスタイラ、『絶叫』)。
・『ドキドキベイビー』(真野恵野菜):イントロのヤッホー的な声を小野瑞歩さんが発していた。
・『お願い魅惑のターゲット』(メロン記念日):曲と一体化した形でみんなで飛びまくるのは議論の余地なく楽しい。高木紗友希さんがまた楽しそうな表情で元気に飛び跳ねていて、一体感がある。
・『ショートカット』(スマイレージ):50人前後のHello! Projectメンバーさん+研修生さんたちが一斉にステージに立ちこの曲をパフォームする華やかさ。
・『天まで届け』(ハロプロ研修生 feat. Juice=Juice):全員で。極めつけ。天まで届いた。それまでの流れも最高で、この曲が締めくくりとして完璧すぎた。これでコンサートが終わりか、100点だと思った。でも終わりじゃなかった。この曲のあとにまことさんが「いよいよ後半戦」と言って、各グループの曲が披露された。
・Juice=Juiceは“Never Never Surrender”と『地団駄ダンス』。この頃になると高木紗友希さんの歌唱の熱のこもり具合が頂点に達していた。私は思わずうんうんと頷いた。高木さんはダンスもハツラツとしていて、目を引いた。『地団駄ダンス』の「こうも不幸が続いて…」のあたりでいちばん反り返っているのは彼女。リンボー・ダンスかというくらいに。
・つばきファクトリーは『ハナモヨウ』。衣装は『笑って』。前半では『就活センセーション』をリクルート・スーツで。小野さんを見ていると白いブラウスの下に、同色のタンクトップが透けて見えた。他のメンバーさんもそうだった。初めて見た気がする。私が気が付かなかっただけかもしれないが。
・新沼希空さんがすごくきれいだった。髪を黒に戻して、つばきファクトリー結成当初の雰囲気に戻った感じがする。シャッフルで何人かで出てきたときは彼女を双眼鏡で凝視した。
・和田彩花さんがいないアンジュルムを見て、これもありなのではと思ってしまった。変な意味じゃなく。もちろん和田さんには続けてほしい。でもアンジュルムはライブハウス(和製英語)での公演ではチームを二つに分けるとかして、和田さんが君臨するグループじゃない形の見せ方もしていくと新たな魅力が開花するんじゃないかな。いや、外野の戯れ言やで。

どれだけキラキラすれば気が済むんだというくらいに、Hello! Projectの皆さんは正月から輝いていた。特に全員が同時にステージに立ったときのまばゆさときたら…。ハロコンならでは。私にとっては、前の現場からの適度なインターヴァル。良好な心身状態。よい席。推しからのレス。高揚するセットリスト。麗しいメンバーさんたち。彼女たちを飾るきらびやかな衣装。これ以上は望めないほどのコンサート体験だった。コンサートが素敵すぎて「これって人生の目的じゃん」と思った。今のところ私の2018年の現場暫定一位である。