2017年4月15日土曜日

変わるもの 変わらないもの (2017-04-09)

イリーガルな写真屋さん通称アンオフィは、朝から降り続ける雨で出店を見送ったのだろう、見あたらなかった。残念。去年の5月14日15日に、私は三郷市文化会館を訪れていた。そのときには会場前の道路沿いに店が出ていた。誰がどうやって撮影しどこから流れた写真なのかは知らないが、公式の写真に比べて質が高く値段も良心的(8枚で1,000円)なので彼らのビジネスに対して私から文句はない。もしアップフロントが彼らをよく思っていないのであれば、もっといい写真をもっと安く販売すればいいだけの話だ。そうすれば自ずと駆逐されるだろう。そうしないってことは何か裏でつながってるんだろう。知らないけど。今日は朝からいまひとつ気持ちが盛り上がらない。もう4月なのに寒いし、雨が本降りで外出日和ではない。昼に入ったインド・ネパール料理屋では出されたラッシーを定食の付属品と思って飲んだところ会計時に別途150円を請求された。150円を払うのはいいのだが、注文していなかったのでモヤモヤが残った。三郷駅に着いてから歩く方向を間違えた。逆側に5分くらい進んでからおかしいと気付き、引き返した。室田瑞希さんの日替わり写真は欲しかったが、そのためだけに雨をしのぎながらグッズ列に並ぶ意欲もなく、開場までは室内で時間を潰した。

観させてもらったのは15時開演の一回のみ。夜公演も申し込んでいたが、外れた。席は2階の5列目。2週間前にチケットを受け取ってこの番号を見たときには顔をしかめたが、2階は4列目までがファミリー席でみんな座っていたので、見晴らしがよかった。変に1階の後方に行くよりはむしろいい席だった。アップフロントから私への愛情を感じた。アンジュルムに関しては「田村」(退団済みの田村芽実さん)と印字された紫のTシャツしか持っていないので、無地の黒Tシャツで臨んだ。光る棒はカバンに入れてくるのを忘れた。公演中、大半の時間、私は双眼鏡を使っていた。レンズで追っていたのは、主に室田瑞希さん。私の目には彼女が今のアンジュルムのエースに見えた。田村芽実さんの最終公演で、田村さんが担ってきた役割を引き継ぎます的なことを室田さんが言っていたのを、私は覚えている(検索してみたら室田さんは当時のブログでもそんなことを書いていた)。あのときに宣言した通りに、アンジュルムのパフォーマンスを引っ張っているという印象を受けた。歌唱とダンスの力量、見た目の麗しさにおいて際立つ存在だし、実際に配置でも真ん中にいることが多かった。元々、私にとって今のアンジュルムではいちばん好きなメンバーなので彼女のことを贔屓目では見ていたわけだが、彼女を見ることでよいところが目に付き、ますます彼女ばかりを見て、さらによいと思っていくスパイラル、これはアイドル鑑賞あるある(スパイラルとあるあるで韻を踏んでいる)だが、今日はそうなった。

「変わるもの 変わらないもの」と銘打たれたコンサート・ツアーの初日の一回目であった。初回ならではの新鮮さを味わえた。和田彩花さんが一人でステージに立ち、『夢見る15歳』のイントロが流れる。誰もが「女の子には秘密の…」と和田さんが歌い出すかと思いきやイントロで踊っただけでメンバー紹介に移る和田さん。歌わんのかい!っていう感じでえー?と残念がる観客。その反応に戸惑い笑う和田さん。一人ずつが何かの曲のイントロで自由に踊りながら登場する。壇上に残っている一人前のメンバーが、その子を紹介する。という感じの、メンバー紹介。「次は、顔のパーツが大きい上國料萌衣ちゃん!」と室田さんは言っていた。スマイレージ時代の曲が始まったときのざわめき。『あまのじゃく』のイントロにおける、悲鳴のような歓声。旧スマイレージ時代の曲を含めて新旧を織り交ぜたセット・リストだった。豪華ではあったし、個人的には『スマイル美人』が好きなので聴けて嬉しかったが、ちぐはぐな感じはした。旧スマイレージの曲たちと、現アンジュルムの曲たちが、コンサートの中でまだうまく調和していなかった。公演を重ねていく毎に馴染んではいくだろうが、それだけではない。

つんくさんが作り上げたスマイレージの世界を上書きするほどの世界を、アンジュルムはまだ作れていない。それはアルバムがないからだ。もちろん“S/Mileage / ANGERME SELECTION ALBUM『大器晩成』”という円盤が発売されたのを私は知っているが、その名の通り寄せ集めの音源集に過ぎない。前のアルバム以降にリリースされたすべてのシングルすら網羅していない。しかも新録の6曲が通常盤・初回盤A・初回盤Bに2曲ずつ分散しているという、私たちをなめくさったワックな代物だ。これは単なる商品であって、世界観の表明ではない。アンジュルムは『大器晩成』をはじめとして数多くの圧倒的なヴァイブスぶち上げ曲を多数、取り揃えているが、それらをアルバムという単位で一つの世界に統合できていない。まだつんくさんが手がけていた頃のスマイレージの名盤『悪ガキッ①』には有無をも言わせぬスマイレージ・ワールドがあった。今のハロプロにはそれが出来ない。単発のリリースばかり。やたらとダブルA面だとかトリプルA面だとかを連発してお茶を濁す。本来であればアルバムを定期的に制作し、実験的な曲や、2-3人だけが歌う曲やソロ曲を拡充させていく。それでコンサートのレパートリーが広がるしグループ毎の特色が出てくる。シングル曲だけではそういう展開が出来ない。いつからかカップリングという概念もどこかに消え去った。総合的なプロデューサーの不在。つんくさんを切った影響。今のハロプロの致命的な弱点。

新メンバーが必要、というかおそらく近いうちに入るのではないかと、観ていて思った。上國料萌衣さんも笠原桃奈さんも溶け込んでいるが、そのぶんグループとしては良くも悪くもまとまっている。もちろんまとまっているのはいいことなのだが、アンジュルムに関しては一定の異物感があった方がいいような気がした。相川茉穂さんがいなかったのもあるかもしれないけど、どこか物足りなさを感じた。田村芽実さんがいないのは私には大きかった。めいめいが退団したのはとうの昔だろうが、ボケてやがるのかこのジジイはと思うかもしれないが、私が前に入らせてもらったアンジュルムの単独コンサートは2016年5月30日。田村さんの最終コンサートだった。つまり田村さんがいないアンジュルムの単独コンサートを観させてもらうのは今日が初めてだった。もちろんハロコンでは田村さん退団後のアンジュルムを何度も目にしているとはいえ、ハロコンと単独コンサートは別物だ。これはシングルとアルバムが違うのに少し似ている。分からないかもしれないけど説明するのが面倒くさいからいいや。

実のところ、今日の私はそこまで底抜けに(そこまでと底抜けで韻を踏んでいる)楽しむことが出来なかった。60点だな、とコンサート中に私は考えていた(公演の評価ではなく、あくまで私がどれだけ楽しんだかの点数である)。終盤の盛り上がりが楽しかったので65点に修正した。それでもかろうじて行ってよかったと思えるレベルだ。点数があまり高くない理由を考えてみると、まず私は数日前に久しぶりに筋トレを少しやって筋肉痛と疲労が残っていた。週にいちど走ってはいたが筋トレはしばらくやっていなかった。次に、4/1に福岡で得た経験が特別すぎてまだ余韻が残っていた。完全に満ち足りていて、新たなハロプロ現場をそこまで求めていなかった。そして、アンジュルムに関してはメンバー的に室田さんを除けばそこまで惹かれているわけではない。和田さんのことはリスペクトしているが。埼玉は竹内朱莉さんの地元だ。開演前には「たけちゃん! お帰り!」コールが沸き起こったが、私にとって竹内さんはアンジュルムの中でひときわ興味を持てないメンバーの一人だしお帰りとも思えないので、きつかった。黙殺した。竹内さんといえばJuice=Juiceの宮本佳林さんから好かれていることで有名だ。完璧なアイドルである宮本さんが半ば一方的に竹内さんを溺愛しているという絵には違和感がありすぎて、目にする度に私は首を傾げている。さすがにアンコールの「たけちゃん! 最高!」コールには乗っかった。開演前に比べると私の気分が高揚していたので。アンコールで再登場してからの和田さんの謝辞で気付いたが、「最高」ではなく「最強」だったらしい。私たちの「たけちゃん! 最強!」が鳴り響く中、「何でたこ焼きって言ってるんですか?」と上國料さんがメンバーに聞いていたと誰かが明かした。「私も聞こえました!」と室田さんが言った。以前にラジオ番組のヤンタンで明石家さんまさんが竹内さんのお顔を金玉になぞらえていたが、彼女の頭部を円形の何かにたとえるのは定番のようだ。室田さんは最後に「このツアーに向けて筋トレをしてきた。終盤、立て続けに激しい曲が続くけど、よく動けているんじゃないかと思う」的なことを言っていた。笠原さんは「私にとって初めてのホールツアー。こんなにたくさんの人が観に来てくれた。一生忘れない」的なことを言っていた。もし私が夜公演にも入っていたら、先ほどの主観的な点数は75点とか80点になっていた可能性はある。でも今のアンジュルムに関してはホールのツアーに一回だけ入らせてもらうくらいで、私はちょうどいいと思った。笠原さんにとっては忘れられない経験だったかもしれないが、私にとってはいずれ忘れてしまう、足を運んだ数多くのハロプロ現場の一つ、そうだったと言わざるを得ない。